後悔…
ごはんに釣られたボクは、浅はかだった…。
家族のみんなは優しい!
ごはんも美味しい!
寝るときも暖かい!
でも…お風呂で洗われた!
濡れるだけでもイヤなのに、シャンプーで洗われた!
ボクが「やだよー!やめてー!」って言うのに、お母さんもお姉ちゃんも「大丈夫」って言うんだ。
全然!大丈夫じゃないよ!
やっと終わって、ボクは濡れたまま隅っこに隠れて、毛づくろいしたの。
そのときお母さんが「明日は、ゆきと病院だな。」って言ってた。
ボクは、意味も分からなかったけど、毛づくろいに夢中だった。
次の日、病院とかいうところに連れて行かれたんだ。
すごーく怖かった!
病院に行くのに、あの大きな音をたてる車にも乗ったんだよ!
お兄ちゃんも一緒だったけど、お兄ちゃんは何も言わなかった。
やっぱりお兄ちゃんは、スゴく男らしい!
病院に着くと恐怖は最高潮!
ボクは…
静かにしました・・・。
そうすれば、見つからないかな~とか、忘れてくれないかな~とか思ったから。
でも、ダメだった。
お母さんが「着きましたよ~。」ってニコニコして言った。
その後の事は、あまりにも怖くて、何をされたか覚えてないの。
病院から帰ったら、お兄ちゃんが居なかった。
お母さんが「ゆきはね、お熱があるから二階で休んでるよ。」って言ってた。
そっかぁ…お兄ちゃん…いないのか~。
ごはん美味しいけど、いつもと味が違う気がする。
みんなが「お部屋においで。」っていうけど、お兄ちゃんもいないし、まだ少しこわい。
それからしばらく、お兄ちゃんと会えなかった。
僕はまた、寂しくなった。
でもある日、トットットッって懐かしい足音。
あれっ?
あの足音は
「お兄ちゃーん!」
お兄ちゃんが来た!
「熱が下がったよ。」ってお母さんが言った。
良かった~ボク寂しかったよ。
お兄ちゃんは、きっとまた「うるせー!あっちに行ってろよ!」って言うだろうけど、ボクは負けないもんね。
そんな風に思ってたら、何も言わないで、いつもの場所で毛づくろいを始めた。
ボクは、お兄ちゃん…?って言って側に行ってみた。
お兄ちゃんは、側に行ったボクの頭を舐めてくれた。
「!」
ママにしてもらったことを思い出した。
お兄ちゃんは、その後もボクの毛づくろいをしてくれた。
ボクは、やっぱりここんちの子になって良かったって思った。
ボクたちの毛づくろいを見て、お母さんが泣いてた。
「ゆき…ありがとう。」
お母さんが、小さい声でそう言った。
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