何か...食べにくい感じがする。
始めはそんな感じだった。
ちょっと風邪を引いたかな...とか、毛づくろいやり過ぎたかな...とか。
でも全然よくならないし、ちょっと前から痛むようにもなってきた。
カリカリなんか食べたら、飛び上がるほど痛かった。
毛づくろいも、あんまりうまくできないし、とにかく痛くて仕方がない。
「なんか...ゆき臭い...」
チビ姉が失礼なことを言った。
あのね~オレはきれい好きなの。
ただね、このところ口が痛くて毛づくろいが上手くできないの。
代わりにやってもらいたいくらいだよ。
そんな風に思っていたら、シマシマのチビ助が、オレの毛づくろいをした。
なんだよ~チビのくせに・・・まあ・・サンキューな。
そういえば最近、窓辺に並んで外を見てると、目が合うんだよな。
前は、ちょっとオレが視線を下げたのに。
もしかしてチビのヤツ、デカくなってきた?
前は、後ろや側にくっついてうっとうしかったのに、いつの間にかそれもなくなった。
そうか~チビじゃなくなってたんだな。
「お兄ちゃん・・・臭いね。」
やっぱりコイツは、うっとうしいチビだ。
そして、とうとうお母さんが動いた。
「ゆき!病院に行こう。」
いや~熱もないし、何とか食べてるし、まだ大丈夫。
「先生に診てもらえば、一発よ!一発!」
みんなそうだと思うけど、病院は嫌い。大っ嫌い!
子猫の時に、すぐ覚えた言葉だったよ。
そんなことを言っても無駄。
お母さんが行くといったら、必ず行くからね。
覚悟するしかない。
病院で先生に診てもらったら、なんとオレは病気だった。
「口内炎だね。」
ちょっと拍子抜けした。
でも、先生の説明で楽観視はできない病気だと知った。
オレは、この先も病院に定期的に通って、薬を打たなくてはならないらしい。
薬の効き目は2週間。
その後は、徐々に効果が切れるから、ご飯が食べられなくなったら
また注射をしなければならない。
お母さんは、黙って診察台の上のオレを撫でてくれた。
口内炎は、今の時点ではこれ以上の治療はないらしい。
まあ・・・しょうがないか・・・。
とりあえず、早く家に帰ろうぜ。
次の日から、普通に食べられるようになった。
ご飯のこと飽きた・・・とか言って悪かったな…って少し思った。
お母さんは朝から、猫缶を出してくれてる。
ここのところ、ずっとそう。
もうカリカリでもいいんだけど、もう少し黙っていよう。
猫缶は、やっぱり美味いもん。
でも時々、強制的にちゅーるが入ってる。
お母さん・・・オレさ、乳酸菌入りのちゅーる苦手なんだけど。
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