とりあえず室内飼いのオレ。
勝手気ままな日を満喫してた。
お天気が良い日は、ほとんど外で遊んで、お昼寝も外でする。
そんな日が続いて、サイコーに幸せだった。
たまに、蝶々が飛んできてジャレついたり。
本気出すと、お母さんがまた怒るから、テキトーに遊ぶ。
軒先にスズメたちがとまると、変な声が出ちゃうんだよ。
カカカカカ…って顎を鳴らすような声。
お母さんも、お父さんも、お姉ちゃんたちも笑うんだ。
でも、出ちゃうんだよ。
ある日、うとうとしてたら、聞き慣れない音がした。
そっちを見ると、羽音のうるさい虫だった。
花の中に頭を入れては、次の花に飛んで行ってのくり返しで、耳障りな音を出す虫だった。
オレが寝てる花の側にも来た。
ムシしてたけど、なかなか飛んで行かない。
見ると目の前にいるから、軽くネコパンチ!
虫は驚いて、オレの鼻の頭にとまった。
「!」熱い?痛っ!
顔を洗った!
何度も舐めた。
でも、どんどん痛くなって、目も片方があんまり見えない。
ヤバくね?
お母さ~ん、お母さ~ん!痛いよ~。
「お家に入る?」のんきなお母さんの声。
その日は、大きいお姉ちゃんもいた。
大きいお姉ちゃんが、リードを外しに来て驚いた。
「オカン!ゆきハチに刺されたんじゃない?」
「えっ?」
ハチ?って、あのウルサい虫?
最悪だよ~。痛いよ~。
「急いで病院に行かなきゃ!」
噓だろ…やだよ、あそこも最悪な所じゃん。
でも、なんか…ダルくなってきた…。
「ちょっと顔が、腫れ上がってない?体に対して、顔が大きくなってる!」
あれ?今、お母さん笑ってましたね。
そんなわけないか…。
大きいお姉ちゃんに、病院に連れて行かれたオレは、抵抗する力もなかった。
診察台の上で、大人しくしているしか出来なかった。
ビビってんじゃねーから。
大きいお姉ちゃんが、事情を説明すると先生が
「ハチか~。ネコちゃんは、たまに刺される子いるよ。たまにね。」
先生…たまにって強調した?
「でもね~顔は…珍しいな。いや…初めてかな。大体、前足とか肉球を刺されちゃうんだよね。ほら、顔にきても払い除けるでしょ。それで刺されちゃうんだよね。」
えっ?どういうこと?
オレは、ノロマってこと?
「そっかぁ、顔を刺されたか~。顔か~。」
大事なことだから、2回言ったの?
ハチの針を抜いてもらって、薬をもらってきた。
薬を飲んで、大人しくしてれば熱も下がるって。
大好きな外に、しばらく出られなかった。
ハチめ~!次は、ゆるさん!
絶対に!
側に行くもんか!
コメント