今日は、オレがチビの頃の話し。
オレがこの家に来てすぐに、おっさんネコは庭に現れた。
「噂はホントだったんだな。」
ってオレに言ったんだ。
「たぶん近々、知り合いが来るからな。」そう言って帰ってったんだ。
次の日庭を見ると、おっさんネコがいた。
オレは、網戸の破って外に出た。
すぐに、お母さんの声がした。
また網戸を破ったのは、マズかったかな?
とりあえず…逃げ…「!」
おっさんネコに、ネコパンチをおみまいされた。
「オマエな~飼われてんだろ。エサくれる人を困らせるな。」
え~なんだよそれ!ってキョトンとしてるうちに、お母さんに捕まった。
おっさんネコは、お母さんが近づいても逃げなかった。
お母さんが「えーと…ボス!ありがとう。」ってお礼を言ってた。
「うちの子、ゆきむらって言うの。よろしくね。」だって。
止めてくれよー。恥ずかしい。
おっさんネコは、そのまま庭にいたから、その後は悪さが出来なかった。
日が暮れると、庭は静かになって夜の匂いがした。
「!」…おっさんネコが言ってたのは、この事だったのか。
オレはチビなりに、箱座りして体を大きく見せた。
「ゆき、もう閉めるよ。」お母さんが、そう言いながらサッシを閉めようとして驚いてた。
そりゃー驚くよな。
庭に、ネコたちが5匹もいれば。
お母さんは静かに、家族を呼んだ。
お父さんも、中ねえもチビ姉もお兄ちゃんも驚いてた。
「近所に、こんなにネコがいたのか。」
「ジブリみたい。ネコのネットワークだね。」
オレも実は、箱座りするのが精一杯だった。
みんな一切、鳴き声も出さないし動かねーんだ。
お母さんはまた「うちの子、ゆきむらって言うの。よろしくね。」だって。
オレの箱座り、台無しじゃん。
「まだ話があるみたいだから…」って、お母さんは閉めずにいてくれた。
オレはチビなりに、この家に来たこと。庭でリードに繋がれることなんかを説明した。
すると、一匹また一匹と帰って行った。
緊張した~。
「あれ?みんな帰ったの?ゆき、お友達できたね。」
あーあ、のんきだよお母さんは。
早速、次の日におっさんネコに、夕べのことを話した。
「みんなこの辺を歩くんだ。オマエの事を良く知らなきゃなんねーだろ。」
ふ~ん…。
「オマエは、ずっと遠くから来たんだろ。オマエの親を知ってる奴もいねー。だから、オマエのことを知りたいのさ。」
ふ~ん…そんなものなのか。
「オマエの母ちゃんどうした?」
死んじゃった…車にやられた。
「…じゃあ、何にも知らねーんだな。」
…?
「オレが、いろいろ教えてやるよ。」
断りづらい空気だな…。
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