野良猫のボクは、この家の子になった。
お兄ちゃんと毎日遊べるし、スーパー美味しいご飯は食べられるし、ボクはスゴく嬉しかったの。
でも、やっぱりママの事が心配で、会いに行ってた。
ママも一緒に来てって、呼びに行ったんだ。
ママは、寝てばっかりで元気がない。
スーパー美味しいご飯の事を教えて、何度も一緒に行こうってお話ししたの。
「ママは、そこまで行けないわ。」って言うだけ。
でもボクだって、引き下がってばかりはいられない。
今日こそは、絶対連れて行くって決めてたの。
ママって呼ぶと、いつも出てきてくれるのに、今日は出てきてくれなかった。
古いアパートの縁の下、ボクはママって呼びながら入って行ったの。
ママは、いなかった。
そこら中走って、いっぱい探したけど、どこにもいなかった。
今まで、怖くて行けなかった道路の方まで探した。
どこにもいない…どこに行っちゃったの?ママ!
「ママなら、人間が連れて行ったぜ。」
声がする方を見ると、あの時のカラスだった。
「えっ?人間の家に行ったの?」ボクは、ちょっとホッとした。
だってそうすれば、スーパー美味しいご飯が食べられるもんね。
でもカラスは違うと言った。
「動かなくなったから、人間が来て持って行ったんだ。」
意味が良くわからないよ。
「オレ達は、動かなくなった奴らの事は、すぐわかる。間違いない。」
ボクは、なんとなく意味は分かった。
もうママに会えないんだね。
ボクは、古いアパートの縁の下に行った。
ママの匂いがした。
ボクは、いつの間にか寝ちゃったみたい。
人間の声で目が覚めた。
「居た居た!子猫が一匹居るぞ。」
「!」ボクは、お家に帰らなきゃ!
一生懸命走った!
知らない場所に隠れたりして、逃げて逃げて、家に帰る事だけ考えた。
どうしよう…パニックになった時、遠くで声がしたんだ。
「サイゾー」って…
お父さんの声だ!
お父さんの声の方に、行けば良いんだ!
この道、この道だ!
あってる!大丈夫、ここ真っ直ぐだよね。
あっ…明かりが見えた。
お兄ちゃんは、もうお庭にいないか。
ボク随分、お外にいたんだね。
ごめんなさい。
でもボク、帰って来たよ!
「ただいまー!」
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