お母さんがペットキャリーにコロコロしてる。
マジか・・・これって例の場所に行くんじゃね?
そろそろかと思っていたけど、やっぱり行きたくね~。
動物病院はきらい
確かにカリカリがまた食べづらくなってきたけど、あそこは嫌いだ!
みんな優しくしてくれるけど、やっぱり嫌いだ!
絶対に痛いことするし、おしりに体温計とかホント不快。
お母さんはお尻に体温計を差されてるのを見ると、一瞬だけど笑いをこらえる顔をするんだ。
すげー失礼だよな。
だけど絶対鳴いたりしない。
ビビりすぎて声も出ないんじゃないかって?
それはチビネコだろ。
一度だけ一緒に行ったけど、行きの車から鳴いてうるさいったらありゃしない。
「お兄ちゃ~ん怖いよ~。動いてるよ~。なにこれ~。やだよ~。」
これをずーと繰り返してたからな。
人間が決めたら絶対に連れていかれる。
だから抵抗しても無駄。
「ゆ~き~ちょっと、降りておいで。爪立てないの。行くよ。」
思いっきり抵抗してるじゃないかって?
無抵抗に捕まったら、お母さんが心配するだろ。
ちょっと抵抗してあげるのが、飼い猫の務めなんだって。
仕方がない・・・一本打ってもらいますか・・・。はぁ~。
あんがい盛況
いつも思うけど、病院は混んでるね。
これも人間と変わらないな。
「今の時間なら空いてるかも。」
なんてよくお父さんが言ってるからな。(月一薬をもらいにいってるらしい)
今日もどうやら待ち時間が結構ありそうだ。
見渡すと、犬・犬・犬・ネコ・オレって感じかな。
車で待機してるのもいるから、50分待ちってとこ。
診察室からはワンコの抵抗する声が聞こえる。
「ムリ無理無理無理!いった!いった!い~や~だ~!」
あ~あ、待ってる他のワンコもビビってるよ。
「お父さん・・帰ろ。帰ろ。」とか
「どこも痛くないよ!痛くないんだって!」とか。
ほんとワンコは賑やかだよ。
ネコの方はというと、じーと待ってるね。
まぁ子猫は別だけどな。
「ねぇ~出して。遊びたい~。ママ抱っこして。抱っこ抱っこ抱っこ~。」
何て具合だな。
「可愛い~。何ヶ月?」
お母さんが我慢できずに話しかけちゃってる。
お母さんてワンコの飼い主さんでも、いや・・・ワンコ自身とかネコ自身に話しかける人だった。
「えっと・・2か月半なんです。」
「じゃあ初めての検診?」
それじゃ鳴いても仕方ないよな。
こんな感じで、待合室に犬と猫が一緒になるけど、ケンカになったりしない。
人間と同じで、動物同士も話しをするんだ。
病院ネットワーク
「あなた若いのに病院通い?」
隣のネコが話しかけてきた。
口内炎ってヤツで、ときどき注射を打たないと、カリカリが食えないんだ。
「あら~あたしの近所にもいるわよ。ヨダレがすごいの。でも、病院には行ってないわね。」
あっそう・・・ヨダレね・・・。
えっ?病院に行ってないの?
「だって通いネコだから、ご飯あげてる人は飼い主じゃないからね。」
そうなのか・・・。あったことのない奴だけど、なんか宙ぶらりんで気の毒になった。
あんたはさ、なんで病院きたの?
「あたし?あたしは腎臓病。月一で点滴しなきゃなの。」
それも大変だな。
「でも、もう17歳だからね。仕方ないかもね。」
そうなんだ?17・・・オレは11だよ。
「ホントに若手じゃないの。しっかり治しなさいよ。」
「キミ・・・11歳なの?ボクと同じだね。」
反対側の柴犬が話しかけてきた。
お前も病気?
「うん・・・そのネコちゃんと同じ腎臓病。」
「あら一緒。じゃ、あなたも点滴?」
「うん・・・でも毎日なんだよ。ツラいよ。」
「大丈夫よ。あたしも半年前は毎日だったのよ。それが月一になったのよ。」
「えっ?ホント?」
結構、励ましあってたりするんだよな。
診察室からワンコが出てきた。(ポメラニアンだ)
「もう許さないから!今度こんなことしたら噛みつくからね!本気よ!」
元気がいいね~。
「いや・・けっこう怖がってますよ。グルグル回ってるし。」
ホントだ・・左回りに回ってる・・・台風かよ。
次に呼ばれたのは、シェパードだ。
迫力ある~。
て・・・お座りしたまま動かない。
飼い主さん・・困ってるよ。
やっぱり・・怖いよな。オレは平気だけど。
「あら・・あたしたちネコと違って、人間の命令は聞くんでしょ?」
「・・・・ふん!・・あんたか・・。」
そういうとシェパードは診察室に入っていった。
知り合い?
「前に一緒になったとき、ネコは言葉がわからないバカだって言ったのよ。」
人間の言葉っていうことか?
「そうね・・人間はあたしたちに命令はしないって言ったから面白くなかったんでしょ。」
それぞれに大変さはあるけどな。
「あんた達観してるわね。」
「ゆきむらく~ん」
「呼ばれてるわよ。」
オレの名前と同じやつがいる。
「・・・・とりあえず、行ってきたら?」
はぁ~~~~~いってきます・・・・。
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